a fragrant olive【ONE PIECE】
第9章 2人の旅路
それから約10日。
少し天気が悪いからと甲板へ出る事は止められてしまったので、私は編み物をしていた。
この前上陸した時に彼にお願いして道具を揃えてもらった。
目が見えなくても編み物であれば先生に教わったのである程度の物を作ることは出来る。
…今思えば先生って男の人なのに女子力高かったな。
裁縫は全般、料理、お菓子も作れた。
なんで出来るのか聞いたら独り身が長いからと言っていたけど…
そんなことを考えていたらドアが開く音がしたと同時に
「リオ!島に着いたぞ!」
彼のその言葉が聞こえた。
あぁ。とうとう着いてしまった。
彼との旅路も終わりなんだと感じた。
「じゃあ片付けして待ってますね」
「あぁ!着岸したら呼びに来るからな」
彼はそう言って部屋から出て行った。
私はそんな彼の足音を聞き届けると編み物の道具を片付け始めた。
本部を出て数十日。
ようやく目的の島、クロム島に着いた。
ここは医療が発達していると先生が紹介してくれた島。
ここであれば彼女に何かあれば満足な治療を受けさせられる。
だが、同時に彼女との旅の終わりも告げる。
俺は港に船をつけ、上陸の準備を始める。
これでいいんだ。
俺の任務に彼女を巻き込むわけにはいかない。
彼女との航海は楽しかった。
熱を出したりして体調崩した時は慌てて俺しかいないのに医者―!!と叫んで彼女に笑われたのが良い思い出である。
この航海で元気になりつつある彼女。
これからはこの島で幸せに暮らしてほしい。