a fragrant olive【ONE PIECE】
第9章 2人の旅路
彼の姿が見える店員さんが羨ましかった。
『あんな旦那様がいて奥様が幸せですね』
実は訂正できた私たちが夫婦ではないという事実。
彼にはあのように説明したが、半分は嘘。
本当は店員さんに夫婦と言われて、幸せと言われた事がとても嬉しかった。
でも彼と結ばれる事はない。
私は目的の島で下船し、彼は命が危険な潜入捜査に向かう。
これ以上求めてはいけない。
私の存在が彼の足枷になってはいけない。
私は、彼と過ごした時間をしっかりと刻みたい。
これからある別れがあっても…
私は靴を脱ぐとベッドに入り、そのまま眠りについた。
翌朝、私たちは港を出航し、目的地へと向かっていた。
私は甲板に置かれた椅子の上に座って風に当たっていた。
研究所で投薬されていた薬の成分はすっかり身体から抜けたのだろう。
急激に体調を崩すことはなくなったが、それでも身体のだるさや発熱がある日もある。
そういう日は彼が非常に心配しながら航海しているのを知っている。
いつまで彼といれるのか
目的の島までどのくらいなのか