a fragrant olive【ONE PIECE】
第9章 2人の旅路
無事に船に戻り、荷物を置いた俺たちは夜も近いので明朝に出航することにした。
島のレストランで食事を摂り、お互い風呂も入ったので船内でのんびり過ごしていた。
「…そういえば、なんで店に行った時に俺が旦那じゃないって言わなかったんだ?」
あの時、店員に言われて彼女は夫婦ではないと否定しなかった。
それがずっと引っかかっていたのだ。
「恋仲でもない男女が旅しているよりは夫婦にした方が自然かなと思ったんです」
「な、なるほどな…」
確かに男女でいたら恋人か夫婦と思うのが妥当だろう。俺たちは違うが。
「選んでいる最中も店員さんはロシナンテさんの事褒めていたんですよ」
「お、俺?なんか褒められるような事したか…?」
「ふふふ。この先は女同士の会話なんで内緒です」
クスクス笑う彼女。服を選んでいる間、本当に楽しかったんだろう。
何を褒められたかは疑問だが…。
「じゃあ私はもう休みますね。おやすみなさい」
「あ、あぁ!おやすみ」
彼女はそう言うと自分が寝起きしている部屋へと姿を消した。
「…俺も寝るか」
明日も早い。俺は船の電気を消してソファーに横になるとそのまま眠りについた。
部屋に戻った私はベッドに腰かけ、一息ついていた。
『旦那様、すごい素敵ですね』
服を選んでいる時、店員さんは彼の事をべた褒めしていた。
目が見えない私を気遣い、とても優しくて紳士的。
私は彼をべた褒めしている店員さんに彼の容姿を聞いた。
金髪に少し切れ長で赤い瞳。顔も整っていて身長も3m近い。
身体も服で見えないが筋肉がついていたと話していた。
あぁ、なぜ彼の姿が見えないんだろう。
これほど盲目であることを悔やんだことがあっただろうか。