a fragrant olive【ONE PIECE】
第8章 決意と行動
リオへ。
これが君に届いているのであれば、おそらく無事に海に出られたのだろう。
私と出会ったのは君が盲目になってすぐの頃だったね。
海軍の医務室で働く私に君の担当医の話が入った。
正直この忙しさから解放されると思った。
でも療養所ではなく研究所で生活していると聞いて疑問が浮かんだ。
君に会った日は忘れない。
失明して間もない、年端も行かない少女。
血色が悪く、病的に色白だった。
でもそれ以上に君の瞳に生気が無かったのは今でも忘れない。
私が挨拶しても全く返事をしなかった。
なぜこの子はこんなにも絶望しきった瞳をしているのか。
私が他の研究者達に聞いても何も教えてくれない。
教えてくれないなら調べるだけとあらゆる情報を調べ上げ、
君の事を知った。
君のあの日の瞳の意味を知った。
政府に10歳で全てを壊され、光も奪われた君。
真実を知った日は声を上げて泣きそうになったけど、他の者にバレてはいけないと声を殺して泣いたよ。
私はその日から君の治療法を探した。小さいことでもいい、
とにかく治すんだと。
でも調べれば調べるほど、君をあそこから出す以外の方法が見つからなかった。
無力の自分が歯がゆかった。
そんな時にロシナンテ中佐と君は出会った。
中佐と話している君はとても楽しそうに笑っていて、私が来てから一番の笑顔を見たと感じた。でもそれ反比例して体調が悪くなる。
中佐が任務に出るから君を連れ出すと聞き、私はすぐに協力すると申し出た。
これが最後のチャンスだと。
君の身体から薬が抜ければ、君の体調は今以上に悪くはなら
ない。
生きてくれ。どんなに短い命でも大好きな花に囲まれ自然の中で生きてほしい。
私とは二度と会えないと思うが、君の無事を祈っているよ。
紙袋に入っているお金は私から君へ、最初で最後のお小遣いと思ってくれ。
では、お元気で。