a fragrant olive【ONE PIECE】
第4章 彼との時間
「足だけでも海に入るか?」
「え?」
彼の提案に思わず聞き返してしまった。
彼がどうか知らないが、海兵の中には悪魔の実の能力者が在籍していると聞く。
彼らは海に嫌われ、金づちになると聞くが…入るのは大丈夫なのだろうか。
「ほら、俺が支えてるから遠慮するなって」
彼はそう言うと私の回答は聞かないまま私を下ろす。
彼は靴を脱いでいるのだろうか。
今更気づいたが私は靴を履き忘れていて裸足だ。
「よし!じゃあ行くぞ」
彼は私の脇に手を入れて抱き上げると歩き始める。
まるで子供のような抱き方に僅かに羞恥心が芽生える。
彼の楽しそうな声にそんなのはすぐに消えた。
彼の腕に抱かれた時に気づいたが、彼はとても大柄なのだろう。小柄の私を軽々持ち上げてしまう。
そしてすぐに海に着いたのだろう、じゃぶじゃぶと水の音が聞こえる。
「ほら、少し冷たいが…」
そう言って彼は私を下ろす。
足に感じた海水の冷たさが海に来たんだと実感させる。
「冷たいけど…海好きだから気にならないです」
「そうか?もう少し入るか?」
「いえ!これくらいでいいです!」
海水の冷たさ。
足首に感じる波
足裏に感じる砂の感触
私が大好きだった青い海。
私の脳裏に大好きだった光景が浮かぶ。
この先に行ってあの青い海が見えないだろうか…。