【HELLSING】Eternitate...【アーカード】
第3章 DISASTER AGAIN
たとえ私を殺そうとしている人たちでも、人を殺すことなんてできない。
彼らは人間で家族や子供、兄弟、友達、恋人がきっといて、彼らもまた誰かの家族や子供、兄弟、友達、恋人だろう。
私にはそういうものがわからない。
幼い頃に母が死んでから、ずっとひとりぼっちで生きてきた。
だからよくわからない。
何にも代え難い大切なものという曖昧な宝物がーー…
でも、これだけははっきりとわかる。
そんな誰かの大事なものを、こんな私が傷つけて奪っていいはずがない。
その人のこれからの幸せと、その人の周りにいる人の幸せを…失くしていいはずがないーー…
「撃て、ない…っ」
銃が私の手からこぼれ落ちた。
私は両手で顔を覆う。
「私には…何もない…っ…」
グールが私の目の前でがぅう!と唸り声を上げた。
…あぁ。
私、死ぬーー…
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