【HELLSING】Eternitate...【アーカード】
第1章 HELL
それは7月の、夏が始まったばかりの出来事だった。
「はっ…はぁ…はぁ!!」
全力で小道を駆ける。
田舎村の真夜中に、女一人で私は教会へとひた走る。
全速力で。
肺が潰れそうでも。
足が棒になっても。
草木の葉や枝が身を切り、痛みと血が滲もうとも。
後ろなんか振り返れない。
振り返れば、走る速度が落ちて奴らに捕まってしまう…。
助けてくれる理性の残った人間は…きっといないでしょう。
怖い、怖い、怖い…。
砂利に足を取られながらも必死に足を回転させる。
あと少し…あと少し…!
バン!!
体当たりしながら教会の扉を押し開ける。
「早く、早く早く!!」
焦って震える右手を左手で抑えながらなんとか鍵を掛ける。
「はぁ…はぁ…」
扉からジリジリと後退りながら離れる。
月明かりだけが照らす暗い教会の中で、静寂が私の不安を煽る。
心臓がドクン、ドクンと鳴るーー…
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