【HELLSING】Eternitate...【アーカード】
第10章 DISTANCE
セラスさんの部屋から出て、私は地下の廊下を歩く。
通りすがりに、アーカードの寝床の前を通る。
開け放たれたドアの向こう。
光のない暗い部屋の中に、真っ黒な棺だけが鎮座している。
そこに刻まれた文…ヘルメスの鳥。
「インテグラ様への忠誠の誓い…」
私への愛の誓いは…どこに刻まれるの?
「リーナ」
「!」
不意に背後から声がして立ち止まる。
振り返ると、アーカードがコツコツと靴音を鳴らして私に歩み寄って来る。
「あ、わ、私急いでるから…!」
私はすぐに踵を返し、うつむきながら足早にまた廊下を歩き出す。
すると、ひらりと私の前に赤い影が降りてきた。
「待て」
私の目の前に降り立たれた…。
強制的に私の歩みはストップさせられる。
「な、なに?」
「何じゃないだろう。そっくりそのままお前に返す」
目も合わせられないし、自然な笑顔だって今はできなくて…。
どうしてもぎこちなくなってしまう。
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