第26章 悪魔 2
「お砂糖は?」
私は紅茶を入れた2つのティーカップをテーブルに置いた。
「うん、入れるわ。あとミルクもちょうだい。」
「オーケー。」
承太郎たちが話し合いをしている間、呑気にお風呂に入るわけにもいかない。とは言え、部屋の中ではすることもないので、こうやってお茶でも飲んで待つことにしたのだった。
「美味しい!」
「シンガポールは元々イギリス領だったから、紅茶が美味しいのよ。後で承太郎たちと買いに行こうっと。」
「ねえ、お姉さん。お姉さんとジョジョは恋人なの?」
「そう見える?」
真剣な顔のアンがかわいかったので、とぼけたように聞き返した。
「だって、お姉さんよくジョジョと喋っているし、船で私を助けてくれたときも息ぴったりだったもの。」
私は紅茶を飲んでわざと間をあけた。
「…まあ、血が繋がってるからね。」
「え!?」
「いとこ同士なのよ、私と承太郎は。お互い恋人もいないしね。」
「い、とこ…?」
「そうよ。アンちゃん、承太郎が好きなのね?」
私がニヤリと笑うと、アンは目を丸く見開き、顔を赤くした。
「お姉さん、からかったわね!」
「ごめん、ごめん。あんまりかわいい反応するもんだからつい、ね。」
謝りつつ、アンにもう1杯紅茶を入れる。アンはまだ唇を尖らせていた。
「からかったことなら謝るからさ、そんなにむくれないでよ。」
「それで怒ってるわけじゃないわ。ただ、納得がいかないだけよ。なぜお姉さんは花京院さんと付き合ってないの?」
「どういう意味?」
言葉の意味が理解できなくて、今度は私が目を丸くした。
「だって、お姉さん花京院さんのこと好きなんでしょ?てっきりジョジョと付き合ってるから、花京院さんのこと諦めてるんだと思ってたのに。」
「ちょ、ちょっと待って。色々話が見えないんだけど。ごめん、なんで私が花京院を好きなことになってるの?」
「え、違うの?」
そう尋ねるアンは心底不思議そうな顔をしていたが、不思議なのは私の方だ。
「仲間としては好きだけど、恋愛として意識したことはないわ。」