第3章 プロローグ 2
私、アンナ・ジョースターは、いつものように大学の講堂で講義を受けていた。私は優等生ではないけど、最前列で教授の顔を見ながら講義を受けるタイプの人間だった。でも、今日の講義は退屈だったせいか、ここ数日誰かからつけられているような視線を感じて睡眠不足だったせいか、大きなあくびを落としては窓の外を眺めていた。
ーそれがどうしてこうなったのか。
授業の途中で呼び出されたと思ったら、その一時間後には私は空港にいて日本行きの飛行機を待っている。もちろん、課外授業のためではない。日本にいるいとこの承太郎に会いに行くためである。
それにしてもー。
「いくらなんでも急すぎない?今日は午後から大好きなジョーンズ博士の考古学なのに。」
私は、事の発端である我が祖父ジョセフ・ジョースターの方をちらりと見た。
「そう怒るな。わしだって、本当はお前さんを危ない旅に連れていきたくないんじゃ。」
「だが、ディオが君を狙っているとわかった以上、アメリカに残るより我々といた方が安全なんだ。わかってほしい。」
「そりゃそうなんだけどさ。」
二人も私が本気で怒っているわけではないとわかっているみたいで、それ以上は何も言ってこなかった。
軽口を叩いてみたけれど、私だって本当は承太郎に会いに行く理由くらいわかっている。
ーディオとの数奇な巡り合わせ、そう私たちの血族の逃れられない運命。私の高祖父(祖父の祖父)であるジョナサン・ジョースターとディオとの決闘はジョースター家の人間はみんな知っている。
そのディオがジョナサンの体を使って復活したとおじいちゃんは言っていた。そんな一族の大問題におじいちゃんが黙っているはずがない。おじいちゃんは何としてもディオを倒して、ジョナサンの体を取り戻すだろう。そのためには、どんな危険も厭わないと思っているに違いない。