第18章 銀の戦車 3
翌日。
私たちは船で移動をするため、港へと来ていた。
チャーターした船に乗るのは、乗組員と私たちだけだとおじいちゃんは言った。
船の方へ歩いていくと、そこには見覚えのある人物が立っていた。その人物にアヴドゥルが声をかける。
「どうした?まだなにか?ポルナレフ。」
そこにいたのはポルナレフだった。
ポルナレフはアヴドゥルに言った。
「まだDIOの呪縛から解いてもらったお礼を言っていない。」
「それだったら私ではなく、承太郎とアンナに言え。」
「いらないな。」
「同じく。」
「どうやら例の受け取り先がないらしい。」
苦笑いしてそう言うと、今度は真剣な表情に戻りおじいちゃんの方を向いた。
「ムッシュジョースター、ものすごく奇妙な質問をさせていただきたい。」
「奇妙な質問?」
ポルナレフは、食事中さえ手袋を外さないおじいちゃんに対し、“左”腕が、“右”腕なのではないかと質問した。
おじいちゃんが訳を聞くと、ポルナレフは声のトーンを落として言った。
「妹を殺したやつを探してる。顔はわからない。だがそいつの腕は両腕とも右腕なのだ。」
もしかして、ポルナレフが店で攻撃してきた時、最初におじいちゃんの左手を狙ったのもそれを確かめるため?
おじいちゃんは手袋を外して義手を見せ、50年前の戦いによる名誉の負傷だと説明した。
「失礼な詮索であった。許してくれ。」
そしてポルナレフは語り始めた。
「もう3年になる。」
ポルナレフの話はこうだ。
彼の妹は3年前、学校帰りに友人とフランスの田舎道を歩いている時にその男に出会した。
その日は雨だったが、男の回りをドーム状に雨が避けて落ちていた。
すると突然、友人の胸が裂けた。そして彼の妹は辱しめを受け殺された。男の目的はただそれだけだった。
「ひどい…。」
あまりにも悲しすぎる。
殺された妹さんも、残されたポルナレフも。
私は唇を噛み締めながら彼の話を聞いた。