第17章 銀の戦車 2
私は店を出る前に散らかってしまった店を元通りに治した。
そして私たちはポルナレフの後を追って歩いた。
「空間を裂くほどのスタンドか…。」
「アンナ、てめーのソードマゼンダは風を切られちまったら他に攻撃手段はないのか?」
承太郎が私に聞く。承太郎の事だから、私が捕まったときに逃げる手段かないか心配してくれているのだろう。
でも、私だって何の考えもなしにこの旅に付いてきたわけじゃあない。
「風で攻撃できなくとも、いくつか反撃する手段はあるわ。それに…」
私はニヤリと笑って承太郎を見る。
「風の強さはね、攻撃よりもそのスピードにあるの。ソードマゼンダだって、そう簡単に攻撃は食らわないわ。」
「ふん。」
ポルナレフは私たちをタイガーバームガーデンに連れてきた。奇妙な形のオブジェがたくさん置いてあって不気味だけれど、広い上に人気もなくて戦うにはぴったりの場所だった。
ポルナレフは笑いながらアヴドゥルに予言をする。
「貴様は、貴様自身のスタンドの能力で滅びるだろう…。」
それを聞いた承太郎は臨戦態勢をとったが、アヴドゥルが制止した。これだけ広い場所なら存分にスタンドを操れるから、と。
その声を皮切りにポルナレフのスタンド、シルバーチャリオッツが攻撃を開始する。
アヴドゥルも応戦し、マジシャンズレッドが炎を出すが、シルバーチャリオッツの剣に弾かれてしまう。シルバーチャリオッツは挑発するように、庭園の彫刻の1つをマジシャンズレッドの形に掘って見せた。
「なかなか、クククク。この庭園にぴったりマッチしとるぞ、マジシャンズ・レッド!」
アヴドゥルは黙って構えをとる。どうやら、本気の能力を出すらしい。
「みんな、何かに隠れろ!アヴドゥルのあれが出る。とばっちりでやけどするといかん。」
おじいちゃんもそれを察したらしく、私たちに隠れるよう指示した。
「クロスファイアー!ハリケーン!」
アヴドゥルがそう叫ぶとともにマジシャンズレッドは十字架の形をした炎を飛ばした。
けれどポルナレフはいとも容易くその炎を弾き返した。弾かれた炎はアヴドゥルに燃え移る。
「ア、アヴドゥル…。炎があまりにも強いので、自分自身が焼かれている!」
「ふははは。予言通りだな。」