第13章 灰の塔 2
承太郎を苦しめたと話は聞いたけれど、私は花京院が実際に戦っているところを見たことがない。
ハイエロファントグリーンは緑の弾丸を飛ばすエメラルドスプラッシュを放つが、タワーオブグレーのスピードにかわされてしまう。
本当に大丈夫なのだろうか?
不安になり、花京院の方を見る。
その時、ふわりと私の指に何かが触れた。
緑の糸のような…ハイエロファントグリーン?
その糸は私に優しく触れる。大丈夫だよと安心させるように。
そうよ。任せると決めたんだもの。
仲間の私が花京院とハイエロファントを信じなくちゃ。
私は頑張れとエールを送る気持ちで、緑の糸を軽く二回握った。
「か、花京院!」
アヴドゥルの声に顔をあげると、ハイエロファントが攻撃を受け、花京院が血を吹いていた。
タワーオブグレーはここぞとばかりに花京院を罵倒する。
「俺に舌を引きちぎられると狂い悶えるぞ。苦しみでなァ!」
「まずい!またエメラルドスプラッシュをかわされた!」
みんなは冷や汗をかいている。
タワーオブグレーは右へ左へ飛び回りながら花京院の方へ向かってくる。
でも、花京院の目にはまだ闘志が光ってる。
「大丈夫よ、花京院なら。」
私はみんなに、そして自分自身に言い聞かせるように言った。
「私のハイエロファントグリーンは、引きちぎると狂い悶えるのだ。喜びでな!!」
そういうと、ハイエロファントグリーンはタワーオブグレーを引き裂いた。
ハイエロファントグリーンの触脚はシートの中や下を通って罠を張っていたらしい。
なるほど。ハイエロファントグリーンの強さは花京院の知略があってこそ、という訳ね。
タワーオブグレーを倒したと同時に、花京院が気絶させた老人が悲鳴をあげる。その舌には、スタンドと同じクワガタのマークがあった。老人は悲鳴と共に舌と顔が大きく裂けていく。
「さっきのじじいが本体だったのか。フン。おぞましいスタンドにはおぞましい本体がついているものよ。」
こうして私たちは無事タワーオブグレーを倒すことに成功した。