第13章 灰の塔 2
それから私たちは飛行機に乗り込んだ。
二人掛け席に花京院とアヴドゥルが座り、四人掛け席に私とおじいちゃんと承太郎が座った。
幸い四人目の座席には誰も来なかったので、私たちは広々と座ることができた。
私は飛行機が離陸する瞬間が嫌いだ。本当に飛ぶのか心配になるし、何より大きく機体が揺れるから怖い。
「承太郎、シートベルトはちゃんとしたから飛行機が飛ぶまでは起こさないでね!」
「…?おう。」
私は承太郎に念を押し、飛行機が離陸する前に眠ることにした。
目が覚めたときには周りの乗客もみんな寝静まっていた。あれからどれくらい経っただろう。私は承太郎の方を見る。彼はずっと起きていたらしく、私の視線に気がつく。
「おう、起きたか。」
「おはよ。私どれくらい寝てた?」
承太郎は腕時計を確認し答える。
「四時間くらいってところか。エジプトまではまだまだかかるぜ。」
「まだ四時間か。」
体が固まっているから、もっと眠っていたのかと思ったのに。
缶詰め状態の体をほぐそうと、大きく延びをしたその時、
ヒュンー
耳元を何かが通りすぎた。
この感覚は覚えがある。すごく嫌な感じ。
「承太郎、飛行機に何かいる!」
「ん?」
承太郎や他のみんなも何かの気配を感じとって立ち上がる。
それは大きな虫のような…
「あ、あれは。カブト…いや、あれは、クワガタムシだ。」
「座席の後ろに隠れたぞ。」
ムシの動きは早く、なかなか居場所を特定できない。
私たちはスタンド使いを警戒して戦闘体勢をとった。