第8章 花京院典明 2
「おお、アンナ!ここにおったか!花京院の傷を治しておったんじゃな。」
扉を開けたのはおじいちゃんだった。どうやらおじいちゃんの方も私を探していたらしい。
「そうよ。それよりおじいちゃん、起きたら誰もいないからビックリしたじゃない。」
「すまんすまん。わしらも忙しかったんじゃ。ところで、花京院から話は聞いたのか?」
「ええ、聞いたわ。大変だったみたいね。承太郎、怪我は?」
「あいつも多少怪我をしておる、後で見てやってくれんか。」
「ご飯も治療も終わったし、このまま一緒に行くわ。」
そう言って私は食べ終わった食器をお盆にのせる。
「花京院、ありがとう。楽しい時間だったわ。」
「私の方こそ、傷まで治していただいてありがとうございます。」
「傷は消えたけど、体力が戻った訳じゃないから今夜はゆっくりしてね。おやすみ。」
そう言うと、私はおじいちゃんと一緒に部屋をあとにした。
「アンナ。やけに嬉しそうじゃな。」
「花京院、良い子ね。承太郎が助けてくれて本当によかったなと思って。」
「…そうじゃな。」