第56章 正義 2
「ねえ、流石に戻ってくるのが遅いんじゃない?」
私、承太郎、ポルナレフの3人部屋だというのに、トイレに行ったポルナレフが一向に戻ってこない。
おばあさんの件もあるし、一人で長く戻ってこないのは心配だわ。
「様子を見に行くか。」
そう言って立ち上がった承太郎の後を追って、私はエントランスへ向かう階段へと向かった。
「やっぱり彼女がスタンド使いだと思うかね、コロンボ刑事。いや、Q太郎君。」
「下に行けばわかる。」
承太郎はフッと口角を上げた。十中八九、あのばあさんがスタンド使いだと思ってるわね。
「ポルナレフ、変なことに巻き込まれてないといいんだけど。」
そう思って階段を降りていくと、なにやら大きな音が聞こえた。
エントランス横のドアはしまっているものの、中から宿屋のおばあさんの声が大きく響いている。
「あちゃー。こりゃ完全にアウトだね。どうする、承太郎。2人で強行突破する?」
「いや。ポルナレフを人質に取る可能性もある。俺が一人で行く。何かあったらジジイに知らせてくれ。」
相手の能力がわからない以上、2人で行くのは危険ってわけね。
「わかったわ。でも、くれぐれも油断しないように。」
承太郎に手のひらを向けると、承太郎はそこに拳を軽く押し付けた。
こういうことに応じてくれるあたり、承太郎も案外甘ちゃんだよね。
そのまま帽子を深くかぶり直すと、承太郎はおばあさんのいる部屋に向かっていった。