第54章 幕間 5
パキスタン国境でアンちゃんを降ろしたあと、私達は足を止めることなく車を走らせていた。
険しい山しかない道が続き、今日は野宿することになった。。
見張りをしていた私は、時計を確認する。
もうまもなく、交代の時間が迫ってきていた。。
交代の時間を告げるため、次の見張りであるポルナレフの寝袋へと向かう。
いびきをかいて気持ちよさそうに寝ている彼を起こすのは少し気が引けるけど、もう時間だし、何より私も眠い。
「ポルナレフ、起きて!交代の時間よ。」
私は耳元に顔を近づけて声をかけると、ポルナレフの体を揺すった。
ポルナレフは眠そうな目をこすりながら、ゆっくり体を起こした。
「もうそんな時間か…。」
ポルナレフは大きく伸びをしたあと、私の顔をじっと見てきた。
「どうしたの?」
「アンナ。お前、花京院のこと好きだろ?」
突然の質問に、思わずドキッとする。
寝ぼけているのかと思ったけど、ポルナレフの真剣な目を見た瞬間に冗談なんかで言ったわけではないのだとすぐに分かった。
「ど、どうしてそれを…。」
「おめぇなぁ。昼間のあれで俺が気付かねーとでも思ったのか。」
昼間とは、ホイールオブフォーチュン戦のあと花京院の膝に座っていたときのことを言っているのだろう。
でも、それを私に確かめてどうするつもりなんだろう。
私はポルナレフの真意がつかめず、眉をひそめた。
「別に茶化そうとか、そんなんじゃねーぜ。ただよ…。」
そう言って、私の顔の方へ手を伸ばしてきた。
思わず目をつむると、ポルナレフは私の髪をそっと撫でた。不思議と嫌な気持ちはしなかった。