第52章 運命の車輪 4
「もうすぐ頂上ね。下の様子はどうかしら?」
登りきるまではどうすることもできないので、何気なく崖の下の様子を確認した。
あわよくば承太郎に代わってもらおうかとも思っていたが、あいにく、彼の手はアンちゃんの首根っこを掴んでいた。
さすがアンちゃん。やっぱり抜け目ないわね。
そうこうしているうちに、あっという間に頂上についてしまった。
「さ、アンナさん。引き揚げますから、手を出してください。」
いくらポルナレフでも私を担いだまま登りきることは難しいので、先に登っていた花京院とおじいちゃんに引き上げてもらう。
ようやく地面に足を降ろすことができ、ほっと一息ついた。
「ありがとう、ポルナレフ。」
「気にすんな。そんなことより、あいつまだ俺たちを追ってくるつもりだぜ。」
崖の下にいたホイールオブフォーチュンは、タイヤを針のように尖らせて崖を一気に駆け上がってきた。
何でもありなの、この車…。
承太郎が登りきった車を殴りつけようと、崖の方に対峙する。
しかし、相手は承太郎を前にしても相手は焦るどころか余裕そうに笑った。
「自分たちの体が匂っているのに、まだ気が付かないのか!」
そういえばさっき、ポルナレフの体からガソリンの匂いがしていたような…。
まさか!
「ソードマゼンダ!」
ホイールオブフォーチュンが再び飛ばしてきた“何か”を、ソードマゼンダの風で相殺する。
すると、ポタポタと液体のようなものが地面に滴り落ちた。
「さっきから飛ばしていたのは、ガソリンだったのね。」
「気づいたか、しかしもう遅い!!!」
ホイールオブフォーチュンは、電気系統をスパークさせる。
飛び散った火花によって、承太郎の学ランが瞬く間に燃え上がった。