第52章 運命の車輪 4
「スタンドらしき攻撃は全然なかったところを見ると、やはりただの変質者だったらしいな。」
崖の下に落ちていった車の方を見る。ほんと、ああならなくてよかった。
「でもあの車、いつの間に私達の後ろに回り込んだのかしら。不思議よね…。」
「少しも不思議じゃないな。」
男の声が突然聞こえ、私達は周囲を警戒する。
「スタンドだからできたのだ、ジョースター!!」
「なにィ!?わしの名を知っているということは、やはりスタンド使いの追手!」
「でも、一体どうやって助かったの?」
この高さから落ちたなら、間違いなくめちゃくちゃのはず…。
「車自体がスタンドの可能性があるぜ。船自体がスタンドだったストレングスのようにな。」
「ホイールオブフォーチュン。これが我がスタンドの暗示。」
その声とともに、突然ドドドドッと大きく地鳴りが轟いた。
「地面だ!」
ドゴーーーーン!という大きな音ともに、地面からさっきの車が飛び出してきた。
「バカな!地面を掘ってきやがった!」
さっきまでボロボロだった車はまるでトランスフォーマーのように変形していく。
ここまでされちゃあ、車自体がスタンドということで間違いなさそうね。
ホイールオブフォーチュンは、大きなエンジン音を響かせこちらに突進してきた。
「ふん。パワー比べをやりたいというわけか。」
承太郎はニヤリと笑うと、突っ込んでくる車と対峙する。
「承太郎、ダメ!スタンドの能力がわからないうちは危険よ!」
私の制止を無視して、承太郎はそのままホイールオブフォーチュンの方へと向かっていく。
けれど、承太郎が反撃をする前に、敵が“何か”を放った。
「「承太郎!!」」
“何か”は承太郎の体に見事ヒットし、傷口から血が吹き出している。
「バカな。見えなかった。何をどうやって撃ち込んできやがったんだ。」
承太郎の傷口にはそれらしいものは突き刺さっていない。
奴は一体何を飛ばしてきたの?
考える暇を与えることなく、敵は更に承太郎に追い打ちをかける。
「承太郎!」
花京院とポルナレフが承太郎の方に駆け寄るが、一足遅い。
三人の体にあの“何か”が撃ち込まれてしまう。
私はすぐさま三人の方へ駆け寄った。