第51章 運命の車輪 3
それからしばらくは、あの車に出くわすこともなく順調に道を走っていた。
「街道の茶屋か。」
おじいちゃんの視線の先には、右手に小さな古い茶屋があった。
さっきのアクシデントでみんな疲れていたし、急いであの車にまた遭遇するのも嫌なので、茶屋で休憩することになった。
旅人がよく来るのか、茶屋の中にはすでに数人の男性が座っていた。
カウンターでは、店のオヤジさんが緑の茎のようなものを絞っている。
一体何かしら。こういうものを見ると、すぐに何なのか気になってしまうのよね…。
おじいちゃんも同じことを考えていたのか、オヤジさんに声をかけていた。
「それ、何だい?」
「サトウキビジュースだよ。飲んで見る?」
「サトウキビだって!甘いのかしら。」
店員さんに渡されるままに、私はジュースを受け取る。
きれいな薄緑色で、すごく美味しそう!
飲もうとジュースに顔を近づけたそのとき、茶屋の外に赤い車がグラスから反射して見えた。
私はバッと車のある方向を振り返る。
「なぜあの車が!?」
私は急いで店の外へと飛び出し、赤い車の方へと向かった。
みんなも私のあとに続いて店を出る。
「やっぱり、あのときの赤い車。」
車はさっき私たちとトラックを衝突させようとした赤い車に間違いなかった。
窓が空いていたので車内を確認できたが、運転席には誰も座っていない。
ということは、さっきの店にあの車の持ち主がいるということ?
私達は全員で目配せをして、すぐにまた店の方に戻った。