第49章 運命の車輪 1
この車は前に2人、後部座席に3人しか座れない。
誰かが膝の上に座らなければならなかった。
「だからって、なんでこうなるのよ。」
「女の子をあんな所で1人放っておくわけにはいかねーだろ。国境についたら、国に返してやればいい。」
「私が言ってるのはそこじゃあないわ!ポルナレフ。」
一番小さいアンちゃんは「承太郎の膝じゃなきゃ座らない」の一点張りで、他の誰の膝にも座らないと言い出したのだ。
もちろん、承太郎がそれを許すはずもなく…。
「なんで私が、おじいちゃんの膝なのよ…。」
アンちゃんは真ん中の席に、そして私がおじいちゃんの膝の上に乗ることになったのだ。
で。問題はその後よ。
髪の毛をといたり、肩をもんだり、おじいちゃんはもうここぞとばかりに私の世話を焼いていたのだ。
久しぶりのスキンシップができたことで、かなり上機嫌のご様子。
歌でも歌い出しそうなおじいちゃんと対照的に、私のテンションはどんどん下がっていった。
「アンナは昔から、じいじの膝が大好きじゃったからのう。よくこうやって昼寝したろう。」
「自分のことを“じいじ”って言うのやめてちょうだい。クソジジイって呼ぶわよ。」
「尖ってるなぁ。いいじゃあねぇか。仲良しの爺さんと孫ってことで。」
「良くない!」
いい年しておじいちゃんの膝なんて、こんな恥ずかしいこと他にある?
「やかましい!うっとーしいぜ!」
「あんたが縦に首を振らなかったせいでしょうが!」
はぁ、と大きめのため息をつく。
こんなことで意地を張っても疲れるだけね。
私は諦めてもう流れに身を任せることにした。
「寝るわ、おじいちゃん。」
そう言って私はおじいちゃんに体を預けた。
「ああ。先日の戦いの疲れもあるじゃろう。ゆっくり眠りなさい。」
そう言って私のおでこに軽くキスをする。
めったに甘えたりなんかしないから、もっと動揺するかと思ったのに。
ずるいなぁ。意地はっても甘えても、おじいちゃんには敵う気がしないや。
そんな事を考えながら、私は目を閉じた。
おまけ
「最初っから素直に甘えてりゃあいいのによ。」
「親に甘えるって案外難しいもんですよ、ポルナレフ。」
「承太郎。わし、嬉しくて泣きそう…。」
「やれやれだぜ。」
実は、嬉しいのを必死に我慢していたジョセフであった。
チャンチャン♪
