第49章 運命の車輪 1
ポルナレフが運転し、助手席には花京院が座っている。
私はと言うと、承太郎とおじいちゃんというデカい二人に挟まれて肩身の狭い思いをしていた。
「まもなくパキスタン国境か。インドとももうお別れですね。」
花京院が何気なくそういったのを聞いて、私は来た道を振り返った。
同じような山道が続いているけれど、ベナレスの街はとっくに見えなくなってしまっていた。
インドにいたのは数日のはずなのに、色々なことがありすぎて、まるで何ヶ月も滞在していたみたい。
苦手だったあの人混みや雑踏が早くも懐かしいわ。
「俺はもう一度戻ってくるぜ。アヴドゥルの墓をきちっと作りにな。」
ポルナレフがそう言うと、みんなは押し黙った。
私は数時間前のことを思い出す―。
『アヴドゥルが生きていることをポルナレフには教えないってどういう事!?ポルナレフが一番あの時のことを気にしているのに!』
『ええ。だからこそですよ。アヴドゥルさんが生きているとわかれば、彼は黙ってはいられないだろう。』
『一理あるぜ。アヴドゥルがきっちり療養するためにも、敵にアヴドゥルの無事が知られちゃまずい。』
『でも、そんな騙すようなこと…。』
-結局、花京院と承太郎に言いくるめられて、ポルナレフには真相を伝えないことになったのだ。
決まったことだから今更どうこう言うつもりはないけれど、ポルナレフの悔しそうな表情を見ていると申し訳無さがこみ上げてくる。
ごめん、ポルナレフ。あとでキャラメル買ってあげるからね。