第44章 女帝と水の聖杯 3
ここは…どこ?
目を覚ますと見たことのない場所にいた。
あたり一面草原が広がっている。空は水を映したように曇りがなかった。
確か、花京院と承太郎とベナレスで買い出しをしていたはず。
あの二人はどこに行ったの?
まさか、スタンド攻撃!?
私はソードマゼンダを出して、周囲を警戒するが怪しい気配は見つからなかった。
「おーーーーーい!承太郎!花京院!」
声がこだましているものの、返事が聞こえる様子はない。
とにかく元の場所に戻らないと。
散策しようと足を踏み出すと、肩に温かな感触が触れた。
「アンナじゃあないか。こんなところに、一人かい?」
「…アヴドゥル!?」
そこには死んだはずのアヴドゥルが立っていた。
「アヴドゥル、あなたどうしてここにいるの?あなた、ホル・ホースの弾丸にやられて…。」
「そうだな。だが、ここは夢の中だ。夢の中なら死んだ者が出てきてもおかしくはないだろう?」
アヴドゥルはニヤリと笑って私を見た。
ああ、この笑い方。間違いなくアヴドゥルだ。
「夢か…。でもこうしてまた会えて嬉しい。私あなたに言いたいことがたくさんあったのよ。」
「ああ。いくらでも聞くさ。だがその前に、君に会わせたい人達がいるんだ。こっちへおいで。」
アヴドゥルはいつもの大きな手を私に差し出した。
私は迷うことなく、その手を取って歩き出した。