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【ジョジョ】タロット~剣の暗示を持つもの~

第43章 女帝と水の聖杯 2


「でも花京院。あなたには無理でしょうね。彼女はアヴドゥル以外にも愛するものを失っているわ。アンナは過去にもっともっと悲しい経験をしているの、あなた知らないでしょう?」
「…まさか!」

僕はバスでの話を思い出していた。
両親の話をしたとき、彼女の表情が曇ったのは…。

「そのまさかよ。彼女は家族を失っている。こんな悲しみに溢れた美しい魂、今まで見たことないわ。」

なんてことを言ってしまったんだ…。
自分への罪悪感で、全身の血の気が引く。

女は恍惚とした表情でカップに頬ずりしていたが、そんな気色悪い行動も、自分が彼女にした残酷なことに比べればどうでも良かった。

「さて、どっちがいくのかしら?早く決めないと時間はどんどんなくなるわよ。」

この女は僕を挑発し、覗かせようとしている。
ならば、図星をつかれてどれだけ悔しくても、その挑発にはのってはならない。

僕は迷うことなく承太郎の方を見た。

「承太郎、僕は彼女の過去を知らない。君が行ってくれ。僕はここで君たちの肉体に異常がないか見張っておく。万一のとき、僕ならジョースターさんやポルナレフにも知らせられる。」
「ああ。」

スタンドの中なら、スタンドだけ入ることもできるはず。
僕は女が認識できない細さまで、ハイエロファントの触脚を伸ばした。
承太郎に視線を送れば、僕の意図がわかったようでその触脚を掴んでくれる。

「準備はいいかしら?さ、覗いてちょうだい。」

承太郎は触脚を持ったままカップの中を覗き込み、そのまま意識を手放した。
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