第41章 幕間 4
「花京院、アンナとそういう関係か?」
「そういう、とはどういう意味だ?」
「まんまだよ。恋人同士なのかって聞いてんだ。こっちに戻ってくるときの会話を聞いちまったもんでな。」
花京院は、「ああ」と納得したような表情を浮かべた。
「アンナさんは素敵な女性だと思うが、僕らは全くそんな関係ではないよ。」
「じゃあよ、ああいう呼び方するのはやめてやった方がいいんじゃあねえか?」
恋人でもない相手にハニーって言われても困るだろうよと付け足すと、花京院は少し目を見開いた。
(こっちも無自覚だったってわけね。ふーん…。)
思案を巡らせるポルナレフに、花京院は慌てた口調で言葉を返した。
「だ、だが彼女はでもそんなことは一言も…」
「おめーなぁ。」
ポルナレフは椅子から立ち上がって、花京院の方へと向かう。
そして花京院の額に、自身の人差し指をグリグリと押し付けながら言葉を続けた。
「お前も見ただろう。状況が状況とは言え、あいつはアヴドゥルが死んだと知っても涙一つこぼさなかったんだぞ?そんな、周りに気ぃ使うやつが、仲間のお前に『嫌だ』なんて言うと思うか?」
花京院は口を開いたが、そのまま押し黙ってしまった。
ここにきて、ようやく自分のしてきたことの意味を理解したらしい。
はぁとため息を付きながら、ポルナレフは再び自分の椅子へと戻った。
「彼女は…嫌、だったのだろうか。」
「さぁな。気になるんなら、直接聞いてやれ。ああいうタイプは、真っすぐ言ったほうが響くと思うぜ。」
嫌じゃあないから、問題なんだろうがよ。
という声はポルナレフの心のなかに留めておくことにした。