第40章 幕間 3
「あ、待って!承太郎。」
「なんだ?」
承太郎が足を止めて振り返る。
アンナはガサゴソとポケットを漁る。
「あなた、アヴドゥルを埋葬したと言っていたわよね。」
そう言って懐から取り出したのは、先程書いていた手紙だった。
「この手紙を、アヴドゥルの埋葬場所に届けたいのだけれど案内してくれない?」
承太郎は、一瞬の沈黙したあと直ぐに返事をした。
「俺一人で届けてくる。てめーは、花京院とポルナレフに顔見せてきな。」
アヴドゥルのお墓はない。
それを知られないようにするための精一杯のごまかしだった。
怪しまれるかと思ったが、アンナはすぐに納得した表情を見せた。
「そうだわ!二人の手当もしなくちゃ!」
チュッ!
アンナは背伸びをして近づくと、承太郎の頬にキスをする。
「じゃあ、承太郎よろしくね!」
ヒラヒラと手を振りながら、アンナはその場を後にする。
やれやれ。
挨拶のキスなんて、普段なら間違いなく払いのけるところだが…。
そうしなかったのは、真実を知らないアンナへの罪悪感によるものなのか、珍しく弱気になっているアンナを励ましたかったからなのかは、承太郎自身にもわからなかった。
その後、好奇心に負けて手紙を見てしまい。承太郎は更に深い溜め息をついたのだった。
アンナは花京院に恋をしている。
この情報は、承太郎によって、またたく間にジョセフ、アヴドゥルに知れ渡ることになる。