第40章 幕間 3
私は書き終えた手紙を折りたたむと、鏡台の前に向かった。
「よかった、目は腫れてないみたい。」
鏡で顔を見て少し安堵した。
手紙を書くのに時間がかかったおかげかも知れない。
「みんなのところに戻らなくちゃ。」
急いでドアを開けると、部屋の前には承太郎が立っていた。
「承太郎?どうしたの?」
怪我でもしたの?とスタンドを出しながら聞いてみるも反応がない。
「怪我したのはテメーのほうじゃねえか。もう何ともねーのか?」
承太郎の声は低く、少し苛立っているようだった。
承太郎が怒っている理由は、ジョセフの態度にあったのだが、アンナは自分の事を心配していたからだと解釈した。
自分を心配してくれたこと嬉しくなり、自然と顔がほころぶ。
「傷は少し残ってるけど、ほとんど大丈夫よ。サンキュー!」
アンナはそう言ってピースサインをして見せた。
承太郎はそれを見て、更に眉間にシワを寄せた。
辛い気持ちを吐き出すことなく笑う姿が、日本で高熱でうなされながらも気丈に振る舞っていた母、ホリイと被ったからだ。
「元気ならそれでいい。」
そう言ってアンナの頭をワシャワシャと撫でた後、承太郎はアンナに背中を向けて歩き出した。