第39章 幕間 2
アヴドゥルへ
そちらの世界はどうですか?
アヴドゥルのことだから、きっと向こうでも悩んでいる人の話を聞いてあげているんじゃあないでしょうか?
いつも相談に乗ってくれていたあなたに、どうしても言えなかった秘密を
今、ここで言いたいと思います。
ひとつが、私が10歳の頃にあった事故のこと。
そしてもうひとつが、花京院のことです。
御存知の通り、私は幼い頃に家族を亡くしています。
みんなは交通事故のせいだと思っていますが、実は原因がもう一つあるのです。
雨が降っていたあの日、私は家族でドライブに行っていました。
そして、突然飛び出してきた犬を避けようとして、車がガードレールから飛び出し崖から落ちたのは知っていますよね。
私だけが、崖の上にいて助かった。
警察の人は、奇跡的に窓ガラスが割れて飛び出たと言っていました。
おじいちゃんは、奇跡だと言っていました。
本当は違います。
察しが付いているかも知れませんが、私が助かったのはソードマゼンダが風で舞い上げてくれたんです。
なぜ私だけが生き残ったのか、スタンドの見えない当時のおじいちゃんに真実を語る事はできませんでした。
それからずっと、誰にも真実を言うことができませんでした。
怖くて目を閉じていた私は、気がつくと崖の上にいました。
当時の私には、家族を引き上げるだけの力がなかったのかもしれない。
でも「もし自分にもっと力があれば」「あのとき勇気を出して行動していれば」と意味のない“もしも”が今でも頭をよぎります。。
おじいちゃんたちに引き取られてからも、彼らの大切な家族を奪ってしまったのは自分なのだという罪悪感が消えませんでした。
人を愛すれば愛するほど、離れるときに自分が傷つくことになる。
何より、こんな罪深い自分が、誰かと心を通わせるなんておこがましいにも程がある。
いつしか、私は人に近づくことが怖くなってしまいました。
心配掛けないように、人当たりよく、明るく。でも本音は見せない。
これが、私が意地を張るようになった理由です。