第36章 皇帝と吊られた男 4
ハングドマンから逃げるように、私達は全速力で岩陰に隠れた。
抱えられているとはいえ、走っている衝撃は体にダイレクトに伝わってくる。
ズキズキと、刺された背中の傷が痛んだ。
ポルナレフは私を地面にそっと降ろすと、神妙な面持ちで話し始めた。
「わ、わかった。い…いま…見えたんだ。」
ハングドマンは、映るものから映るものへと移動し、反射を繰り返して私達のところへやって来たのだと。
「反射?つまり奴は光かっ。奴の正体は光のスタンドということか!?」
「花京院!やつは今、車のバンパーにいた!バンパーから何かに反射して移動するにちがいない!映るもののそばへは行くな!」
「体からも映るようなものを外さなきゃ!」
とにかく急がないと、いつ反射して岩陰まで来るかわからない。
私達は、必死で身につけていたボタンやベルトを外していった。
「お兄ちゃんたち大丈夫?」
「誰!?」
突然の声に驚いて振り返ると、小さな男の子がこちらに向かって歩いてきていた。
「ねえ、血が出てるけど…。お薬もってこよーか?」
「おい小僧!あぶねーから向こうへ行け!」
下手に岩陰から出るわけにも行かず、ポルナレフが必死に遠ざけようと声を張り上げる。
けれど、男の子は全く気にしていない様子でこちらに向かってきた。
シュンッ!
一瞬、当たりが眩しく光る。
「まさか、ハングドマンが反射してきたの?」
一体どこに…?
周囲を見渡すと、男の子の目の中にハングドマンが映っていた。