第5章 悪霊にとりつかれた男 2
承太郎がいるであろう牢屋の前には、警察官が二人。二人とも恐る恐る中を覗いては何かを言っている。
おじいちゃんは二人の間に割って入り、承太郎と対面した。ホリイちゃんも、おじいちゃんのあとに続く。私は、少し離れたところでアヴドゥルと一緒に事の顛末を見守ることにした。こう言うことは年長者の仕事。私の出る幕じゃない。
「出ろ!わしと帰るぞ。」
「消えな。お呼びじゃあないぜ。」
承太郎はおじいちゃんに突っかかったと思ったら、いつの間にかおじいちゃんの小指の義手を引きちぎっていた。あのおじいちゃんに一杯食わせるとは。それに、目にも止まらぬあのスピード。さすが承太郎のスタンド。ただ者じゃあないわね。
承太郎は牢屋から出ようとはせず、ついに強行手段に出ることになった。
アヴドゥルのマジシャンズレッドと承太郎のスタンドとの攻防が続く。
それにしても承太郎、アヴドゥルに向かってブ男だなんて。
承太郎のスタンドは思いの外パワーもあり、マジシャンズレッドも苦戦していた。
承太郎が牢屋から出た瞬間にアヴドゥルが攻撃体勢をやめたので、乱闘にはならなかったが、あのまま本気でぶつかり合っていればお互い無事ではすまなかっただろう。
おじいちゃんは承太郎なら無駄な争いはしないことを見込んで、アヴドゥルに強行手段を取らせたことはわかっている。でも、ホリイちゃんのいる前でこういうひやひやすることはやめてほしい。
私は少しおじいちゃんを少し睨んで、それから承太郎に声をかけた。
「よっ!牢屋にいたわりには元気そうね。」
「おう。」
「あんたの次の台詞は「アンナが来てくれて嬉しい」だ!」
「いわねーよ。」
「でも、心では思ったでしょ?」
「…俺のかわりにテメーが牢屋にはいるか?」
「冗談だってば!そう睨まないでよ。」
日本の皆様ご安心ください。日本が崩壊することは免れたようです。(※前話参照)
「ところでアンナ。お前、昔自分には天使がいるとか言ってなかったか?」
「勘が良いわね、さすが承太郎。私の天使、この子もスタンドよ。今のあんたなら見えるでしょ?」
そういうと、私は自分のスタンド、ソードマゼンダを出現させた。
「私のスタンドについても順を追っておじいちゃんが話してくれるわ。とにかくいきましょう。」
私たちは留置場をあとにした。
