第5章 悪霊にとりつかれた男 2
「空条承太郎の面会?わかりました。こちらへどうぞ。」
婦警さんに案内され、私たちはオフィスの奥の扉へと入った。
「ここの一番奥の右手の牢屋に空承太郎はいます。牢屋の前には担当のものがいますので。では、私はここで。」
そういうと、その婦警さんはそそくさとオフィスの方へ戻っていった。承太郎のやつ、相当怖がられてるみたいね。
私たちは終始無言で承太郎の元へ向かった。
留置場は暗くてじめじめしていて、独特の雰囲気を醸していた。
私は歩きながらちらりとホリちゃんの方を見た。今、一番承太郎の身を案じているのは彼女だろう。承太郎のスタンドが見えたと言っていたが、彼女はまだスタンドの正体を知らない。息子の身に何が起きているのか心配でたまらないはず。
ホリイちゃんのためにも、一刻も早く承太郎を牢屋から出すべきだと思う反面、私にも心配事があった。
ホリイちゃんの話によると、彼は“人を傷つけないために”と牢屋に閉じ籠っているらしい。
人は目的があって意地を張るとき、早々簡単に折れることはない。ましてや、あの承太郎が周りへの優しさゆえに意地をはっているとなれば、いくらおじいちゃん相手でも容赦なくはねのけるだろう。
いったいどうやって承太郎を説得するつもりなのか。本当に説得できるのだろうか。
私の不安を知ってか、おじいちゃんが優しく私の頭を撫でた。
「大丈夫じゃ、アンナ。一筋縄では行かんじゃろうが、そのためにアヴドゥルにも一緒に留置場まできてもらっておる。ほれ、突き当たりが見えてきたぞ。」