第34章 皇帝と吊られた男 2
少しずつにぎやかになりつつある朝の街を、私はひたすらに走り続けた。
今朝見た夢のせいか、嫌な予感がする。
「どこにいるのよ、アヴドゥル。ポルナレフ。」
「てめぇぶっ殺してやる!!」
その時、ポルナレフの声が聞こえた。
私はソードマゼンダで風を起こし、体を浮かせて音のした方へ向かう。
すぐ近くの広い道路の中央に、チャリオッツとポルナレフ、そして対峙するように立っているカウボーイハットの男が見えた。カウボーイハットの男の手には銃が握られている。
「あの男がスタンド使い!」
「な、なんだお前は!?」
「アンナ!?」
私は風で勢いをつけたままカウボーイハットの男へ飛び蹴りを食らわせた。
しかし、飛び蹴りの直前に銃は発砲され、ポルナレフの方へ弾丸が飛んでいく。
「シルバーチャリオッツ!」
チャリオッツで弾丸を切ろうとしたが、弾丸は剣を避けポルナレフの方へ進んでいく。
「危ない!」
私は風で弾丸の軌道を変えようとしたが、その前に見覚えのある人影がポルナレフを横へ突き飛ばした。
「アヴドゥル!」
「心配してきてみりゃあ、行ったことじゃあない!」
「アンナ!君も単独で私を探しに来たのだろう!勇気と向こう見ずは違うぞ!」
アヴドゥルはポルナレフと私を見て怒っていたが、そんなことよりも彼が無事でいてくれたことに何より安堵した。
弾丸が軌道を戻し、再びポルナレフたちの方へと向かっていく。
「どけ!ポルナレフ、弾丸がもどってくる!」
加勢しようと2人の方に駆寄ろうとした瞬間、背中に鈍痛が走った。
「ゔぅっ!」
「俺がいるのを忘れていたのかい?後で死なない程度に可愛がってやるからなぁ。」
私、刺されたの?
鏡はないはずなのに、なぜ?
意識が朦朧とするなか、アヴドゥルが血を流して倒れるのが視界に映った。
こんな形で嫌な予感が当たるなんて…。
一番肝心なときに自分は何で倒れているんだろう。
アヴドゥルに花京院が駆け寄るのが見え、そのまま私は意識を手放した。