第34章 皇帝と吊られた男 2
私達はホテルに来たものの、
ポルナレフとの一件から空気が重い。
ポルナレフがスタンドに襲われた後、彼は両右手の男を探し出すと言って聞かなかった。
心配性のアヴドゥルがそれを認めるはずもなく、揉めたあと結局喧嘩別れのような状態になってしまったのだ。
「アヴドゥル、そろそろ寝ましょう。」
私は窓の外を眺めているアヴドゥルに声をかけた。
アヴドゥルはハッとしてこちらを向き、眉を下げて笑った。
「すまないが先に休んでてくれないか?」
「わかったわ。インドに来たばかりで疲れてるんだから、アヴドゥルも早く寝てね。」
「ああ。」
寂しそうなアヴドゥルの顔を見ると、それ以上は何も言えなかった。
私は小さくため息を付き、ベッドへ向かう。
先に隣のベッドにいた花京院も苦笑いして私の方を見た。
「アブドゥル、あの調子だとまだしばらくは寝なさそうだわ。」
それになんだか嫌な胸騒ぎがする。
取り越し苦労ならそれで良いんだけれど。
そんな私を見透かすように花京院は優しい声で言った。
「アンナさん、今悔やんでも仕方ありません。二人を心配なのはみんな同じです。明日、ポルナレフを探すためにも今日は早く寝ましょう。」
窓際で寝ている彼のすぐ後ろにはハイエロファントの触脚が伸びている。
優しい花京院のことだから、平気な顔はしていてもきっと内心穏やかではないのだろう。
仲間なのだからもう少し頼ってくれてもいいのに、何ていうのはお互い様か。
「そう言うあなたこそ、ハイエロファントを休めてあげないと疲れちゃうわよ?」
「ふふ、ばれていましたか。」
敵わないなあなんて言いながら、彼は眉を下げて笑った。
ふざけている場合でないことはわかってはいるけれど、軽口でも言っていないと不安で落ち着かない。
それから程なくして私達は眠りについた。