第33章 皇帝と吊られた男 1
「要は慣れですよ。慣れればこの国の懐の深さがわかります。」
レストランで席に付き、落ち着いたところでアヴドゥルがインドの良さを語り始めた。
船にいたときはすがるような思いで聞いていたおじいちゃんたちも、今では半信半疑で聞いている。
まあ、初めてであれは少しインパクトが強すぎたわよね。みんなかなり動揺していたし。
「なかなか気に入った。良いところだぜ。」
一人いたわね、あの空気に動じてなかった奴が。
承太郎、やっぱりあんた只者じゃないわ。
「マジか承太郎!マジに言ってんの、お前。」
「私はおじいちゃんの若すぎる言葉遣いにびっくりだよ。」
「なんじゃと!?」
ニヤッと笑う私とは対象的に、おじいちゃんはムッとしていた。
いい歳なんだから、頬膨らませて拗ねないでよ。
「あれ?そう言えばポルナレフは?」
「彼ならお手洗いに向かいましたよ、アンナ。」
花京院がメニューを捲りながら淡々と答えてくれる。
黙々とメニューを見ているけど、しっかり周囲のことも把握してるのが花京院らしい。
いつの間に注文をしてくれていたのか、
程なくして料理が運ばれてきた。
ポルナレフはまだトイレから戻ってきていないが、料理も冷めてしまうので先に食べ始める。
「これ、辛い!」
「アンナは辛いものが苦手ですか?」
「辛いものなんて普段あまり食べないから、慣れてなくて。」
そう言うと私は水を勢いよく飲んだ。
「でしたら、このカレーは比較的甘めでしたよ。」
くすっと笑うと、花京院は色の薄いカレーを私によそってくれた。
お礼を伝えつつ、
かっこ悪いお姉さんと思われているだろうなと自分に苦笑いする。
「おいてめぇどこ行きやがった!!」
さあ食べようというタイミングで、ポルナレフがすごい剣幕でこちらへ来た。
「ポルナレフ!?」
「ちっ!」
ポルナレフはそのまま、私達の方を見ることなく店の玄関へと走っていった。
「おじいちゃん!」
「うむ。」
私達もすぐにポルナレフを追って店の玄関へと向かう。
ポルナレフは玄関で立ちすくしていた。
「どうした、ポルナレフ。」
「何事だ!?」
「今のがっ!今のがスタンドとしたらついに!ついに奴が来たぜ!」
「奴ってまさか…。」
「俺の妹を殺したドブ野郎ー!ついに会えるぜ!」