第33章 皇帝と吊られた男 1
「アヴドゥル、いよいよインドを横断するわけじゃが、その、ちょいと心配なんじゃ。」
船が港につき上陸準備をしている頃、
おじいちゃんが困ったような笑みを浮かべてアヴドゥルに行った。
「わしは実はインドという国は初めてなんだ。インドという国はカレーばかり食べていて熱病なんかにでもすぐ掛かりそうなイメージなんだが。」
「おれカルチャーショックで体調崩さねえか心配だな。」
おじいちゃんに続いてポルナレフも口を開いた。
2人の気持ちはわかる。
インドってハマる人はハマるけれど、好き嫌いがはっきり分かれる国のイメージだもの。
アヴドゥルはフフフと笑って、
それから私たちを安心させるかのように自信満々に口を開いた。
「それは歪んだ情報です。心配ないです、みんな。素朴な国民のいい国です。私が保証しますよ。」
旅慣れしているアヴドゥルの言うことだから、頼りになるのは間違いないんだけど。
「今回は、アヴドゥルの保証は当てにならないかも。」
小さな声でつぶやいたつもりが承太郎に聞かれていたらしく、怪訝な顔で見られてしまった。
「なんだ、アンナ。お前なにか知っているのか?」
「いや、大したことじゃないわ。アヴドゥルはスタンドのこともあって腕が立つ占い師と評判だったから、世界中色んな人と繋がりがあってね。それこそ政治界の大物から、裏社会の重鎮まで幅広い人脈よ。だから、私なんかとは器の大きさが桁違いだと思うの。」
「ん?そいつはどういう…」
「さあ!カルカッタです。出発しましょう。」
承太郎は最後まで私の真意に気がついていないようだったが、アヴドゥルの声に遮られ私達は船を降りた。