第30章 火の棒と大地の金貨 2
列車にのってマレーシアまで来た私達はホテルで一泊することになった。
インドへの道のりはまだまだ遠い。
しかし今日はもう乗り継ぎ便がないため、明日の列車まで待つしかなかったからだ。
承太郎、花京院、ポルナレフで1部屋。
もう1部屋には、ジョセフ、アヴドゥルと私の3人が泊まっている。
花京院と同じ部屋だったら、別の意味で精神状態がまずかったわね。
私はこの部屋割りにほっと胸を撫で下ろした。
「おいお前たち。明日も早朝から出発だ。今日はれぞれ早く寝るように。」
おじいちゃん、修学旅行の先生みたい。
私は少し苦笑いしながら、一緒に部屋へと向かった。
明日に備えたほうが良いと言うおじいちゃんの意見には大賛成よ。
でも、
「さすがに早すぎなじゃない?」
時計はまだ九時を指したばかりなのに、おじいちゃんとアヴドゥルはすでに眠ってしまっている。
一方私はというと、1日中列車で座っていたせいか、私は全くと言って良いほど眠たくなかった。
まだ時間も時間だし、読書でもしようかとカバンを漁っていたとき、玄関でノックが聞こえた。
少し警戒して玄関を覗くと花京院が手を振っていた。敵ではないとわかり安心したものの、私の心臓は別の意味でうるさくなった。
私は高鳴る鼓動を悟られないように、冷静を装ってドアを開けた。
「アンナ、起きているのは君だけかい?」
「そうだけど、どうしたの?」
「ポルナレフたちとトランプをするんだけど、四人の方が盛り上がるんじゃないかと思ってね。良かったら来ないかい?」
「いいわよ。ちょうど一人で退屈していたところだから。」
私は花京院の後を追って歩きだした。