第1章 序章
《まさに”小さな巨人”!!》
――――――そう、テレビのアナウンサーが叫んでいた
外に遊びに出るでもなく、勉強するでもなく、これといって趣味もなく。
休日を怠惰に過ごしていた私は、なんの気もなくテレビで流れていたバレーボールの試合を眺めていた。
”春の高校バレー”全国大会
戦っていたのは隣町にある「烏野高校」だった
暇つぶしに眺めていたはずの試合なのに
私の視線はいつの間にか、その「烏野高校」の1人の選手に釘付けになっていた
身長190cm近い選手がひしめくコートの中を
170cmという決して大きくない身体で飛び回る選手
次々と得点を重ねるその黒い姿に
身体が、心が震えた
―――――――背番号10番
その彼の背中が、目に焼き付いて離れなかった