第6章 【石田三成】鈴音と共に…②【R18】
~後日~
「三成くん」
お天気の良い昼下がり、縁側で読書をしていた桜姫は廊下を歩いてきた三成を見つけて大きく手を振る。その揺れに従って髪に飾られた簪が綺麗な音を奏でた。
「桜姫様、読書は進んでいますか?」
「はいっ」
近くまで来た三成に返事をすると、またチリンと音がする。
この音が聞こえると安心すると三成に言われて、心配を掛けないようにと毎日同じ簪を使っていた桜姫。
「この後、お暇を頂きました。一緒に城下へ買い物へ行きませんか?」
「本当っ?やった~」
飛び上がって喜んだ桜姫は三成に飛びついた。
「こんな所で逢引か?」
偶然通りかかった光秀に苦笑いを向けられる。その後ろから来た秀吉は微笑ましくその様子を眺めているようだった。
「これから桜姫様と城下へ逢瀬に」
「そんなことは聞いておらん」
呆れてため息をついた光秀は秀吉を一瞥してその場を去っていく。
「迷子になるなよ」
秀吉からの忠告に桜姫は元気よく返事をした。
「私が一緒にいますので大丈夫です」
三成もそう返事をして2人で城下へと向かう。
いつまでたっても目の離せない二人だと秀吉はまた心配にもなったが最近の三成はだいぶ逞しくなったと感心していた。
「桜姫さま、新しい簪を買いましょうか」
三成からの贈り物がまた増えるようである……。