第14章 【徳川家康】良薬口に苦し②【R18】
熱が下がって少し元気になって来た桜姫は、いつものように薬を飲むのを嫌がって家康を困らせている。
頬を膨らませてみるが、家康に通用するはずもなく、苦い薬を口に押し込まれてしまった。
「マズい、苦い~」
涙目になりながら、湯呑いっぱいの白湯を飲み干して苦みを消そうと努力する。
「家康のバカ~、嫌い」
二杯目の白湯を飲みながら訴える桜姫に呆れた顔をする家康であったが、昨日からの気疲れが彼を襲った。ため息をつきながら、薬が苦いと言う彼女の肩にそっと頭を乗せる。
「家康?」
「ちょっとだけ……」
まだ微熱のある桜姫の身体は熱さが残り、潤んだ瞳で家康を見下ろしている。指を絡ませ手を握って、何故だかそれが互いに安心感を覚えた。
桜姫がふぅと熱い息を漏らし、一旦身体を離した家康が少し汗ばんだ彼女の前髪を掻き上げると、心地よさそうに目を細める桜姫が見える。
「桜姫」
そっと重ねられた唇がとても久しぶりな感触を与えて離れがたい気持ちになった。ゆっくりと離れて行った唇に「…あっ」と小さな声が漏れる。
艶めいた声に反応しないはずもなく、家康は再び唇を合わせると熱い口内に舌を滑り込ませた。
「熱いね……桜姫の口の中」
口づけを交わしながら、まるで口内を診察しているかのように満遍なく舐め回される。微熱の残る桜姫の口の中は熱く呼吸はあっという間に荒くなった。
上気した頬と潤んだ瞳は更に欲情の色を見せて、力の入らない身体はそのまま褥へと押し倒される。
「ごめん、我慢できそうにない」