第15章 君は初恋は? 【灰原】
「なぁ、なんで俺まで呼ばれたんだ?」
問い掛けると、園子はジュースを飲みながらきょとんと目を瞬かせ、スパッと言い放った。
「新一くんの代わり」
「あぁ…」
妙に納得してしまって、郁大は自分の正面に座る園子の隣と、自分の隣をチラ見した。園子の隣には彼女の彼氏である京極真、自分の隣には親友の工藤新一の幼馴染である毛利蘭が座っている。自分が工藤新一ならWデートの形になっただろう。だが、なぜわざわざ自分を呼んだのか。面子が面子なのだから三人でも良くないか。そんな訴えの表情が読み取れたのか、園子はきかれたわけでもなく「だって」と言葉を発した。
「郁大くんなら蘭と一緒にいさせても安心だし、なんなら新一くんに自慢写メでも送ってやろうかと」
「なる、ほど…?」
後者はわかるが前者はどういう意味でとらえたらいいのかと思いながら言葉を返す。
「ごめんね、鴉羽くん。付き合わせちゃって」
「いや、毛利が謝る事じゃないよ。園子に引きずられたようなもんだしな」
それならいいんだけど、と蘭がほっと息をつく。その時カシャと音がして、写真を撮られたのだということに気づいた。
「園子…」
「いいじゃない!ほら、これ新一くんに送っといてね!」
「俺がかよ」
ピロンと受信音がしてスマホに写真が届く。無駄に良い角度で距離が近いように見える。今送ると面倒そうだから後で送ろうと、そのままスマホをおさめた。するとそこが間合いだと感じたのか、今まで黙っていた京極が「あの」と口を開いた。
「突然こんなことをきいて恐縮なんですが…鴉羽くんは、園子さんとどのようなご関係なんでしょうか?」
一瞬、郁大はきょとんと目を瞬かせた。だがすぐにジト目を園子へと向ける。
「お前…説明せずに俺を連れてきたのか」
「かるーくはしたわよ?かるーくは」
それは本当の意味で軽くだけしたんだろうなと郁大はため息をついた。そしてひとつ答えを間違えれば牽制がとんでくるのではないだろうかと思える京極の視線に答えた。