第14章 そのカクテルの名は 【ウォッカ】
「姐さん…モテるんすね」
「まぁな~。けど、浮気はぜってェ無いから安心しろ♡」
見えないハートでもとんだかのウインクに、男の顔が若干赤くなった。
「んで、何飲むよ?」
「あ、あぁ…カミカゼをくれ」
マスターの問いに男が答え、三葉が笑みを浮かべる。それに笑みを返し、当たり前でしょう、と男は心の中で呟いた。“カミカゼ”は、彼女のもうひとつの名なのだから。
「どっちからだったんだい?」
「初めは俺が姐さんを気にしてたんですが…」
「コイツがアタシを庇って撃たれた事があってな?そん時に惚れちまったんだよ~」
(あぁ、やっぱ裏の人間だったんだな、この男も)
ここは、裏の人間が集うバーである。