• テキストサイズ

人生は常に事件に満ちている【コナン】

第13章 少年と青年 【公安男】


カランとドアベルが鳴る。いらっしゃいませ、ともう馴染みの声で迎えられたコナンは、視線を上げて固まった。
「よう、坊主」
「え…?」
それは昨日殺人現場に現れた謎の人物。いや、大体察しはついているのだが。それが正解なら、彼がここにいるのも理由がつけられる。
「まぁそんなとこに突っ立ってないでこっち来いよ」
「え、う、うん…」
まだ考えが纏まらないコナンは、躊躇いがちに彼に近寄る。道中ちらと安室を見れば、我関せずと言う顔。何も言わないということは問題はないのだろう。が。
「今ここには俺達しかいない」
カウンター席、自分の隣に座らせて彼は言う。警戒するな、話せることは話せ、と暗に言う。
「お前の事はこいつからきいてるよ」
指し示すのはカウンター内にいる彼。
「めちゃくちゃ頭がキレる子どもだってな」
「えー…はは…そんなことないよ…」
「謙遜するな。何より〝こいつ〟が言うんだ。大袈裟じゃないってことはわかってる」
どうやら安室に対する信頼は絶対のようだ。コナンはまた安室をちらと見るが、彼は助け舟を出してくれる様子は無い。
「こいつがここまで好評価出すのはなかなか…」
「さっさと本題に入れ」
「はいはい」
ようやく口を出した安室の口調はいつもの柔らかなそれではない。先日工藤邸できいた彼本来の顔、〝降谷零〟のもの。
「名乗らずすまなかったな。俺の名は千綾朔司」
そう言って彼は懐からソレを取り出して、コナンの前に広げる。
「警視庁公安部警部だ」
「………、」
開いた口が塞がらなかった。警察の人間で、公安だとは勘づいていたが、警視庁公安部の警部だったとは。
「……安室さんの、部下の人ってこと?」
「あぁ、やっぱ知ってるんだな。直属じゃないが、まぁ間違ってはないな」
「……」
そんな人物がなぜ自分のところに。コナンは別の意味で警戒心を抱き始める。
「そんな怖い顔するなよ。別にとって食いやしねぇって」
ぽんぽんとコナンの頭を撫でる手は、少々乱雑だが優しさも感じるもの。
「俺はただ、お前がどんなやつか知りたいだけだ。こいつが、こんな子ども相手に信頼を置くわけをな」
「ボクは…」
「おい朔司、あまりコナンくんを困らせるな」
コトリとカウンターにコップを起きながら安室が口を挟む。コナンは思わずふいっと視線を上げた。
/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp