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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第13章 少年と青年 【公安男】


人だかりの隙間に立ち入り禁止の黄色いテープが見えて、彼は足を止めた。そしてさらにその奥に、小さな陰があるのを目で捉える。口元に笑みが浮かぶのを自分で感じながら、彼は〝KEEP OUT〟へと近寄った。
「殺人事件ですか?」
「はい…そうで…えぇっ!?」
テープ付近にいた警察官に答えをきくなり、彼はテープをひょいと上げて中に入る。歩きながら懐から白手袋を出して装着。その後を警察官が慌てて追いかけた。
「ちょっ、困ります!中に入らないでください!」
だが制止の声は諸共せずに進んで行く。そして彼は、ある地点で立ち止まった。ちらり、と視線は下へ向く。自分への視線を感じた〝小さな彼〟は顔を上げた。
(なんだ…?)
含みのあるような笑み。一体何者だ。少年の中で小さな警戒心が生まれる。
「困りますって!ここは関係者以外立ち入り禁止です!」
「関係者以外、か」
その呟きは複数の意味を持つ。彼は懐からそれを取り出して警察官に見せた。
「えっ?…こっ!?」
言葉を上げようとした警察官を手で制す。下からでは黒い何かとしか見えないが、少年はそれを推測した。
(あれは警察手帳か…?警察手帳を見せられて、こ、と発する……このつく部署は限られる。そして、高木刑事のあの驚き様……まさか)
少年は彼を凝視した。その視線に対し、彼はまた、含みのある笑みを返した。
目に留めた目暮警部に「千綾くん」と呼ばれた彼は、目暮警部と少し話をすると、殺人現場から去って行った。遠ざかって行く彼の背中を、コナンはしばしの間見つめていた。






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