第13章 少年と青年 【公安男】
「朔司…?名前で呼ぶの?」
「…あぁ、うん……僕とこいつは、幼馴染でね…」
「幼馴染…」
繰り返してコナンは朔司に顔を戻した。彼は肩をすくめて見せる。
「まぁだから余計に気になるっていうかさ。零のお気に入りはどんな子かとっていう興味もあるんだよ」
「そう…」
コーヒーを飲む朔司をコナンはじっと見る。嘘は言っていない、本心だろう。コナンの警戒心が揺らいでいく。それを感じてかどうか、朔司は先程よりも雑にコナンの頭をなぜた。
「わっ!?」
「よし、ごちそーさん、零。相変わらず上手いコーヒーをサンキュ」
「はいはい」
言って朔司はカウンターに小銭を置き、カランと音を立ててポアロを後にした。その様をポカンとした顔で見つめるコナン。嵐が去ったような光景に安室は苦笑した。
「ごめんね、コナンくん。突然変なやつが来て」
「う、ううん」
「多分あいつは本当に、君の事をどう捉えるか見に来ただけなんだよ」
小銭を集めながら安室が言う。そしてその中に紛れていた紙切れをコナンに渡した。受け取ったコナンは、その内容を見て目を瞠る。
「これって…」
「ここで書いた様子は無かったから、元々用意していたんだろうね」
「…」
コナンはその紙を見て、複雑な思いを抱いたのだった。
〝踏み込みすぎるなよ、少年。だが頼りにしている〟