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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第10章 はじまりの緋色 【安室】


その後も安室はキャメルとジョディを煽りつつ話した。体育教師と5年生の息子を持つ女性と、1年生の娘を持つ男性。被害者をストーカーしていたのは体育教師だったようだ。本人は守っているつもりの、無意識のものではあったが。女性は短時間で、渋谷夏子はテストの採点中だったという。その後の男性も、とくにおかしなことは言っていないように思えた。問題の答案用紙は現在鑑識が調べているところで写真のみだが、それらを見る。
(これって…)
ぱっと目についた違和感。なるほど、と十華は思い、容疑者候補の3人のほうをちらと見た。
「本当に、日本じゃ花丸なのね」
「うん?」
不意にジョディがこぼした言葉に首を傾げて、あぁ、と声をもらした。
「アメリカでは“EXcelent”だもんね。でもジョディ、問題はそこじゃ、」
「それだけか?」
十華の言葉をさえぎるように、挑発ともとれる声。
「それだけなのか?FBI…」
安室がジョディとキャメルに問う。この写真から読み取れるのはそれだけなのか、と。だがジョディもキャメルもこの“違和感”には気づいていないようだった。
「ぷっ、ハッハッハッハ!!やはり読み取れたのは僕達だけだったようだよ!」
「僕達?」
「そうだろ?江戸川コナンくん…そして、青黛十華さん」
「え?」
「…」
コナンは「何の事?」ととぼけたが、安室はコナンの行動を見ており、誤魔化せなかった。犯人は、だいたいわかった。
「しかし、ようやく謎がとけましたよ…ずっと疑問だったんです。なぜ彼女は探偵の僕に…ストーカー調査の依頼をしてきたのか…FBIのご友人がいるっていうのに…」
「ちょっとそれどういう意味!?私が頼りなかったって言いたいわけ!?」
「た、頼みづらかったんじゃないですか?我々は休暇をとって観光で来日しているわけですし…」
煽ることをやめない安室と、それに食いつくジョディ、なんとか誤魔化そうとするキャメル。その様を十華はただ見ていた。
(本当に、何を考えてるの?確かに怒らせればボロが出る可能性は出てくるけど…)
この時点でジョディやキャメルから盗れる情報なんてないだろうに。
「観光ですか…ビザがないんなら、そろそろ滞在日数が限界に来てるんじゃないですか?満喫したのなら…とっとと出て行ってくれませんかねぇ…僕の日本から…」
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