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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第10章 はじまりの緋色 【安室】


渋谷夏子の机からルミノール反応が現れ、犯行現場が職員室であることが確定した。残っていた教師と、被害者と会う予定があった2人に話をきく。女性は8時すぎに10分ほど、男性は9時前に学校に来たが、会えなかったという。彼は跡をつけて被害者に怒鳴りつけたいことがあったが、彼女に雇われた探偵に返り討ちにあったのだとか。
「仕方ありませんよ…彼女にストーカー被害の依頼を受けていたんですから…」
「!」
そこに現れた人物を目にして、十華らやコナンの顔色が変わる。安室透、またの名を、バーボン。黒の組織の幹部クラス。どうやら彼も、被害者の通話履歴に残っていたから呼ばれたようだ。
(…安室くん)
引っ掛かりはある、が、警戒しないわけにもいかない。悟られないように。ちら、とジョディ達とアイコンタクトをかわした。
「そちらの2人は…英語の先生ですか?」
安室には、キャメルのかげに隠れて十華は見えていないらしい。ジョディとキャメルを見てきいた。
「あ、いえ、こちらはFBIの方々で…わけあって捜査協力を」
ピクリ、と安室が反応した、ように、十華には見えた。
「ホォー…FBIですか…」
それはまるで、“FBI”という存在を、嫌悪しているかのような目だった。それから安室は不意に視線を外し、軽く目を瞠り、細めた。視線の先にいたのは十華だった。十華に気づいた安室は何か言うかと思ったが、そのまま顔を上げて話を戻した。
「FBI…アメリカ合衆国連邦捜査局ってヤツですね…よく映画でお見かけしますよ!手柄欲しさに事件現場に出ばって来て…ドヤ顔で捜査を引っ掻き回し地元警察に煙たがられて、視聴者をイラつかせる捜査官…」
「なに!?」
安室の言い方に、キャメルが声を上げた。安室から目を離さないまま、キャメル、と十華がいさめる。
「あ、別にあなた方の事を言ってるわけじゃないですよ!僕が観たのがたまたま…」
悪びれない様子で言う安室に、キャメルは怒りがおさまらない。そんなキャメルを落ち着かせるように、ジョディが小声でさとした。十華は安室に言葉を向ける。
「安室くん、あまり言わないでやって。彼、こう見えても気にするほうでね…」
「それはそれは…FBIにもそんな方がいるんですね…」
何を考えているのかわからない彼。だがもう少しで確信がもてそうなのだ。事件の事を話し始めた安室を、十華はただ見つめていた。




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