第9章 ミステリートレイン 【灰原/安室】
有希子からメールで合図をもらい、昴と十華は部屋を出た。目指すはベルモットと安室がとった部屋。ベルモットは裏工作中、安室はコナン達と一緒に推理中だ。一応警戒しつつ、そのドアを開ける。そこには思ったとおり、真純が寝かされていた。
「真純…!」
「どうやら気絶させられているようだな…」
「…ベルモットと接触したのね」
「…」
昴が真純を抱きかかえる。そのまま2人は真純の部屋へ向かった。昴がそっと椅子に寝かせると、「ん、」と真純がうめく。
「しゅ…秀兄…」
「…」
「…」
「…頼んだぞ、十華」
「えぇ…」
昴が、ペリ、と“それ”を剥がす。そして“赤井秀一”は、この真純の部屋に置いてあった、彼女の帽子を目深にかぶって部屋を出て行った。
「…秀兄…生きて…」
「…ごめんね、真純」
この件でこの子に謝るのは何度目だろう。十華はそっと真純の頭を撫で、赤井の身を案じた。