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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第9章 ミステリートレイン 【灰原/安室】


「でもあの子…この部屋に来る途中ずっとわたしの上着のスソつかんでたから…。何か心配事があるみたいだし…ついててあげないと…」
それでも蘭はドアを開け、外にいるであろう哀を探した。
「あれ?哀ちゃん、どこー?」
今さっきだから、そう動いていないはずだというのに。きょろきょろ見渡して呼んでみても、哀は出てこない。
「わたし、ちょっと探してくるね」
「俺が行くよ」
「でも、哀ちゃんはトイレに…」
「連絡してみる。毛利はみんなについててあげてくれ」
「…わかった。お願いね、鴉羽くん」
「あぁ」
必ず。郁大は部屋を出て、辺りを見渡した。行くとしたら、一般人が多い前の車両よりも人の少ない後ろの車両に行くはずだ。郁大はメールを一通送り、7号車の方へと歩き出した。
(はやまるなよ、志保さん…!)
逸る気をおさえながら、郁大は彼女の無事を願った。








有希子が“彼女”と接触するために部屋を出て行った。十華はソファに座り、時を待っている。
「…ねぇ、真純もいたわよね」
「あぁ…」
部屋の外を伺っていた昴が、十華の言葉に頷く。
「真純にも、接触してくるかな」
「だろうな…」
“赤井秀一”に化けているのはおそらくベルモット。彼女なら声も真似ることができる。真純に会っても、“赤井秀一”を演じられるはずだ。それで確かめるのだろう。赤井秀一が本当に死んだのかどうかを、真純の反応を見て。
「ただ会うだけじゃ、すまないでしょうね…殺しはしないにしても」
「…」
「手、足りる?」
「“あちら”は有希子さんと鴉羽くん…それにボウヤが動いてくれるだろう…問題ない」
妨害されては困るから、邪魔である真純は気絶して監禁しておくだろう。それを救出するのが、“昴”の役目だ。
「“時”を待て…もうすぐ、その時が来る」
「…OK」
もうすぐその時が来る。うまくいい風がこちらに吹くことを、彼女は願っていた。





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