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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第9章 ミステリートレイン 【灰原/安室】


鈴木財閥のベルツリー急行で毎年行われる、ミステリートレイン。郁大も園子に席をとってもらい、自分以外のものを“彼女”に渡した。
「連絡は、新ちゃんを通してでいいわよね?」
「その方がいいと思う。彼女は自分には手を出さないって、新一が言ってたからな」
「…えぇ」
一瞬、有紀子の顔がくもった。友人のことを思ったのだろう。
「ありがとう、郁大くん。あなたも無茶しないでね」
「…」
言って有希子は身を翻して行った。お互い、無茶はせず、だが守るものは守る。郁大は離れたところにいる、大切な“彼女”を想った。









発車してしばらく。どうやら推理クイズより先に、本当の殺人事件が起きてしまったようだ。場所は十華たちの部屋のすぐ近く、7号車のB室。わずかにドアを開けて昴が外の様子を伺った。通り過ぎた男に、蘭にしがみついていた哀が反応する。彼はしっかりと“彼女”を見た。その後に来たのは、安室透。昴はそっとドアを閉じて、言った。
「どうやら天は、我々に味方しているようですね…」
役者はそろった。後は“時”を待つのみ。








殺人事件がお起きてしまったため、蘭や園子、子ども達と博士は部屋で待機する事になった。郁大も、現場はコナン達に任せて彼女らの近くにいた。そして、顔色の悪い“彼女”の様子を伺う。先日キャンプで子ども達を助けてくれたという女性のムービーを毛利探偵事務所に送ったらしい。その女性は、哀が解毒薬で元に戻った姿だった。ネットに流せばその女性が見つかるかもしれないと思ってのことだったらしい。
(哀さん…)
彼女は感じているのかもしれない。やつらの気配を。底知れぬ恐怖を。その部分はわかちあえなくて、郁大は苦しくなった。
「哀ちゃん?」
突然、哀の顔色がさらに変わった。メールを見て青ざめている。そして彼女は席を立ち、外へ出ようとする。
「あ、哀くん、どこへ行くんじゃ?」
「トイレよ…風邪薬も飲むから、少し長いかも…」
言って哀は、部屋を出た。
「じゃあわたし哀ちゃんに付き添うよ!」
「放っときなよ!ウザがられるだけだって!」
追いかけようとした蘭だったが、園子に制される。
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