第10章 Reincarnation 〜織田信長〜
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「………っ、」
渦巻く空間に巻き込まれた後、ふらふらする頭を正気に戻すと…
「……っ、ここ、昔の本能寺?」
立っていたはずの本能寺跡地は、お寺の中庭だったのか、目の前には立派な境内が見える。
「っ、佐助君っ!?」
手を繋いでいたはずの佐助君がいないっ!?
「佐助君、どこっ!?」
キョロキョロと周りを見ても佐助君の姿がない。
あんな渦巻きに巻き込まれたんだ、どこか違う場所に飛ばされたのかも?
って事は、私一人?佐助君は大丈夫なの!?
どくんと、嫌な鼓動が跳ねた。
起こりうる様々な可能性を佐助君は教えてくれていて、「何が起こっても焦らず落ち着いて行動して」と言われていたけど、どれだけ自分が他力本願だったのかが分かる。
「佐助君っ!」
一人ぼっちにされ、途端に心細さ全開になった。
「佐助君、佐助君、どこっ!?」
キョロキョロしながら広い境内の中佐助君を探していると、
「俺の命を狙うとは笑止千万っ!そこへなおれっ!その首刎ねてくれるっ!」
よく響く低い声が私の動きを止めた。
「ひぃっ、私は何も…お助けを」
その後に続いて悲痛な叫び声が聞こえてきた。
「なっ、何!?」
恐る恐る声のする方に視線を向ければ、平伏す人と、その人を斬ろうとする…侍!?
(やっぱり私、タイムスリップしてる!?)
「って、そんな感心してる場合じゃない」
そう言う時代だって、頭では分かってはいるけど、いきなり目の前で人が斬られるなんてごめんだ!
後で考えれば、思いっきり平和ボケした者の行動だったけど、
「まっ、待って!」
いても立ってもいられずにその人達の前に出て行った。
「やめて下さいっ!斬らないで下さいっ!」
ばっと手を広げて…なんてドラマの様にかっこいい事は出来なかったけど、自分の勇気の出せる可能な限り二人に近づいて叫んだ。(多分結構遠い距離から)
「!…なんだ貴様は」
ぞくりと肌が粟立つ程冷気を帯びた声が私に向けられた。
「……っ、」
(ヤバいっ!)
後悔先に立たず!
もしかしたら自分も斬られるかもと思ったけど、恐怖で足がすくんで動かない。